就労ビザの種類が多すぎて分からないときに、企業側が整理すべきポイント

外国人採用を検討し始めると、多くの企業担当者が最初につまずくのが「就労ビザの種類が多すぎて分からない」という問題です。
技術・人文知識・国際業務、特定技能、技能実習など、名称だけを並べられても、自社にどれが当てはまるのか判断できないという声は少なくありません。

インターネットで調べても、制度ごとの説明は出てきますが、「結局、うちの場合はどれなのか」という疑問は解消されにくいものです。その結果、制度理解が追いつかないまま話が進み、後になって認識のズレや手戻りが発生するケースも見受けられます。

実は、就労ビザの種類を理解するうえで大切なのは、最初からすべてを覚えようとしないことです。
企業側が整理すべきポイントは、ビザの名前よりも前にあります。

この記事では、就労ビザの種類に振り回されないために、企業側がどの順番で考えればよいのかを整理していきます。

目次

就労ビザの種類を「一覧」で覚えようとする危険性

就労ビザについて調べ始めると、多くのサイトで「就労ビザの種類一覧」が紹介されています。一見すると親切な情報に見えますが、企業担当者にとっては逆に混乱の原因になることも少なくありません。

理由は単純で、ビザの種類は目的ではなく結果だからです。
「このビザを使いたい」から外国人を採用するのではなく、「この仕事を、この人に任せたい」という前提があり、その条件に合った制度が後から当てはまります。

にもかかわらず、先に一覧を覚えようとすると、「名前の違い」や「細かい条件」に意識が向いてしまい、自社の採用目的や業務内容との関係が見えなくなります。その結果、「結局よく分からない」という状態に陥ってしまうのです。

就労ビザを理解する第一歩は、種類を覚えることではありません。
自社の状況を整理することが先に来ます。

企業側が最初に整理すべき3つの視点

就労ビザを考える際、企業側が最初に整理すべき視点は大きく分けて3つあります。

一つ目は、任せたい仕事内容の中身です。
職種名や部署名ではなく、「日常的にどんな業務を行うのか」「判断や企画が伴う仕事なのか」「単純作業が中心なのか」といった点まで言語化することが重要です。この整理が曖昧なままだと、どの制度にも当てはめにくくなります。

二つ目は、採用したい外国人の経歴や強みです。
学歴や職歴、日本語レベルと、任せたい仕事が自然につながっているかどうかは、就労ビザを考えるうえで非常に重要な要素です。「人が足りないから」だけで結びつけてしまうと、制度上の説明が難しくなります。

三つ目は、自社の受け入れ体制です。
業務指示や評価の基準が整理されているか、更新手続きを誰が管理するのかなど、雇用後を見据えた体制が整っていないと、ビザの種類以前の問題としてつまずきやすくなります。

この3点が整理できていれば、就労ビザの種類は自然と絞られてきます。

ビザ選びで遠回りしないための考え方

就労ビザで遠回りしてしまう企業の多くは、「正解のビザ名」を早く知ろうとしすぎています。しかし実務上重要なのは、正解を当てることではなく、筋の通った説明ができるかどうかです。

「なぜこの外国人を採用するのか」「なぜこの業務を任せるのか」「なぜこの制度が当てはまるのか」。
この流れが一本につながっていれば、制度の理解は後からついてきます。

逆に、ここが整理されていないまま進めてしまうと、途中で制度とのズレが見つかり、計画の見直しや採用の延期が必要になることもあります。これは企業にとっても、外国人本人にとっても大きな負担です。

就労ビザは難しい制度に見えますが、考え方の順番を間違えなければ、必要以上に構えるものではありません。
種類に振り回されず、自社の状況から逆算する。
これが、企業担当者が持っておくべき基本的なスタンスです。

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この記事を書いた人

本間 隆裕のアバター 本間 隆裕 行政書士

シキサイ行政書士事務所 代表。
外国人の在留資格(VISA)申請を専門に、就労ビザ、特定技能ビザ、興行ビザ、永住許可申請などのサポートを行っています。

行政書士法人二社にて計7年間勤務し、500件以上の在留資格関連案件に携わってきました。
企業と外国人双方の立場を理解したうえで、制度だけに頼らない、実情に即したサポートを心がけています。

外国人が日本で安心して働き、生活できる環境づくりに貢献することを大切にしています。

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