外国人雇用がうまくいかない企業に共通する、制度以前の問題とは

外国人雇用に取り組む企業が増える一方で、「思ったように定着しない」「現場が混乱してしまった」という声も少なくありません。
制度を調べ、必要な手続きを行ったはずなのに、結果としてうまくいかなかったというケースも見受けられます。

こうした話を聞くと、「制度が複雑だから」「外国人雇用は難しいから」といった結論に行き着きがちです。
しかし実際には、問題の原因が制度そのものにあるケースはそれほど多くありません。

外国人雇用がうまくいかない企業には、制度を考える前の段階で共通する問題が存在します。
それは、特別なノウハウ不足ではなく、採用や現場運営に対する考え方のズレであることがほとんどです。

この記事では、外国人雇用が形だけになってしまう企業に共通する「制度以前の問題」を整理し、見落とされがちなポイントを明らかにしていきます。

目次

「人手不足だから」という理由だけで採用している

外国人雇用がうまくいかない企業でよく見られるのが、「とにかく人が足りないから」という理由だけで採用を進めてしまうケースです。
人手不足は深刻な問題ですが、それだけを理由にすると、採用後のミスマッチが起きやすくなります。

どんな業務を、どこまで任せたいのかが整理されていないまま採用すると、現場での指示が曖昧になり、外国人本人も戸惑います。
これは外国人に限った話ではありませんが、言語や文化の違いがある分、問題が表面化しやすくなります。

人手不足の解消を目的にするのであれば、まず業務内容を見直し、「誰に、何を任せるのか」を明確にすることが欠かせません。

仕事内容や期待値を言語化できていない

外国人雇用がうまくいかない企業では、仕事内容や期待値が社内で共有されていないことも多くあります。
「臨機応変にやってほしい」「状況を見て動いてほしい」といった表現は、日本人同士であれば通じる場面もありますが、外国人には伝わりにくいことがあります。

業務範囲が曖昧なままだと、「それは自分の仕事なのか分からない」「どこまでやれば評価されるのか分からない」という不安につながります。
結果として、消極的になったり、逆に注意を受けることが増えたりするなど、悪循環に陥ります。

外国人雇用では、暗黙の了解に頼らず、言葉で説明する姿勢がより重要になります。

受け入れ体制を「本人任せ」にしてしまっている

採用が決まった後の受け入れ体制も、制度以前に見直すべきポイントです。
外国人を採用したものの、現場への説明が十分でなかったり、相談先が曖昧だったりするケースは少なくありません。

「困ったら聞いてくれればいい」という姿勢は、一見親切に見えますが、実際には質問しづらい雰囲気を生むこともあります。
特に入社初期は、何をどこまで聞いていいのか分からず、問題を抱え込んでしまうことがあります。

受け入れ体制とは、特別な仕組みを用意することではなく、誰が、何をサポートするのかを明確にすることです。

外国人を「特別扱い」しすぎてしまう

意外に多いのが、外国人だからといって過度に気を遣い、特別扱いしてしまうケースです。
配慮は大切ですが、必要以上に区別すると、本人が孤立したり、周囲との距離が生まれたりすることがあります。

仕事の進め方や評価基準が日本人と異なると、「自分は本当にチームの一員なのか」と感じてしまうこともあります。
結果として、モチベーションの低下や早期離職につながることもあります。

大切なのは、特別扱いではなく、同じルールの中で必要なサポートを行うことです。

制度は「最後」に考えるもの

外国人雇用において、在留資格や制度は確かに重要です。
しかし、それは採用や受け入れの考え方が整理された後に考えるべきものです。

制度だけを先に整えても、現場の準備や意識が追いついていなければ、うまく機能しません。
外国人雇用がうまくいくかどうかは、制度の選び方よりも、企業側の姿勢に左右される部分が大きいのが現実です。

外国人雇用を成功させるためには、制度を調べる前に、まず自社の状況と向き合うことが欠かせません。
それが結果的に、制度を正しく活用することにもつながっていきます。

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この記事を書いた人

本間 隆裕のアバター 本間 隆裕 行政書士

シキサイ行政書士事務所 代表。
外国人の在留資格(VISA)申請を専門に、就労ビザ、特定技能ビザ、興行ビザ、永住許可申請などのサポートを行っています。

行政書士法人二社にて計7年間勤務し、500件以上の在留資格関連案件に携わってきました。
企業と外国人双方の立場を理解したうえで、制度だけに頼らない、実情に即したサポートを心がけています。

外国人が日本で安心して働き、生活できる環境づくりに貢献することを大切にしています。

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