1日だけ・1公演でも興行ビザは必要?行政書士がケース別に解説

興行ビザ

「海外からアーティストを呼びたいけれど、出演は1日だけ。この場合でも興行ビザは取らなきゃいけないの?」 「報酬が発生しなければ、観光ビザ(短期滞在)で大丈夫?」

イベント主催者様やプロモーター様から、このようなご相談をよくいただきます。結論から申し上げますと、「報酬が発生するかどうか」が最大の分かれ道であり、たとえ1日の出演であっても興行ビザが必要なケースは非常に多いです。

この記事では、多様な興行ビザ申請に携わってきた行政書士が、興行ビザの要否をケース別に詳しく解説します。

目次

結論:1日だけでも「報酬」があれば興行ビザが必要です

日本の入管法では、滞在期間の長さではなく「日本国内で報酬を得る活動をするか」で判断されます。たとえ公演が1日(数時間)であっても、以下の場合は「興行(在留資格:興行)」に該当し、適切なビザの取得が義務付けられています。

  • ライブやコンサートへの出演
  • プロスポーツの試合への出場(賞金が出る場合も含む)
  • テレビ番組や広告の撮影(出演料が発生する場合)

「1日だけだからバレないだろう」という安易な判断は、外国人本人だけでなく、呼び寄せた企業側も「不法就労助長罪」に問われるリスクがあります。これは5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金という非常に重い罰則です。
コンプライアンスが重視される昨今、ビザの確認は必須事項といえます。

実務でよくある「報酬」の定義とは?

ここで多くの方が悩まれるのが、「どこまでが報酬に含まれるのか?」という点です。

実は、現金で受け取る「出演料」だけが報酬ではありません。
入管実務において報酬とみなされる可能性があるもの、そうでないものを整理しました。

報酬とみなされる可能性が高いもの

  • 出演料・ギャランティ(金額の多寡を問いません)
  • 賞金(コンテストや大会で獲得するもの)
  • 実費を超える「謝礼金」「車代」
  • 物品での対価(高額なプレゼントなど)

報酬に含まれないもの(実費)

  • 航空券などの交通費(実費分)
  • ホテルなどの宿泊費(実費分)
  • 滞在中の食事代(常識的な範囲内)

つまり、出演料はゼロでも「交通費+宿泊費+お小遣い(多額)」を渡す場合は、報酬ありとみなされるリスクがあります。判断に迷う場合は、必ず専門家に確認しましょう。

ケース別:興行ビザが必要なパターン vs 不要なパターン

具体的にどのようなケースで判断が分かれるのか、代表的な例を見ていきましょう。

【ケースA】興行ビザが必要な場合(報酬あり)

  • 海外アーティストが1日限定の単独ライブを行い、チケット収入から出演料を得る。
  • 音楽フェスに1ステージだけ出演し、出演料を受け取る。
  • プロの格闘家が日本の興行で1試合だけ戦い、ファイトマネーを得る。
  • 海外モデルを招いて、日本国内で1日だけ広告撮影(CM・スチール)を行う。

【ケースB】興行ビザが不要な場合(報酬なし・短期滞在でOK)

  • アマチュアの合唱団が、報酬を得ずに文化交流として演奏する(主催者が実費のみ負担)。
  • 一切の報酬を受け取らないボランティア出演。
  • 日本で開催される国際会議や学術会議での無報酬の講演。

「ノービザ(査証免除)」の国でも興行ビザは必要?

アメリカ、韓国、イギリスなど、日本と「査証免除(ノービザ)」の合意がある国のアーティストであっても、「報酬を得る活動」をするなら興行ビザが必要です。

よくある勘違いが、「観光(ノービザ)で入国して、1日だけ歌って帰れば問題ない」というものです。これは入管法違反(資格外活動)にあたります。ノービザはあくまで「報酬を伴わない」観光やビジネス会議のための制度であることを忘れないでください。

興行ビザ申請における「3つの壁」

興行ビザは、他の就労ビザに比べて審査が非常に厳しく、独自のルールがあります。

  1. スケジュールの壁
    申請から許可までには2〜4週間、1ヶ月程度かかります。
    「来週のイベントに呼びたい」となっても間に合いません。
  2. 会場の壁
    出演する施設の「客席数」「飲食物の提供有無」「従業員数」などが細かくチェックされます。
    例えば、飲食店で歌う場合は「特定興行」という非常に厳しい基準が適用されます。
  3. 招へい機関(受け入れ側)の壁
    呼び寄せる企業や団体が、過去にビザトラブルを起こしていないか、適切な報酬を支払う能力があるかが見られます。

よくある質問(FAQ)

Q. 1日だけの出演なのに、なぜ申請に数週間〜1ヶ月もかかるのですか?
A. 入国管理局では、その1日のために「不正な契約がないか」「会場が基準を満たしているか」を厳格に審査するためです。1日でも1年でも、審査のプロセスは同じです。

Q. 準備が間に合わない場合、観光ビザで入国させて後から申請できますか?
A. できません。観光ビザ(短期滞在)から他のビザへの変更は、原則として認められません。
一度帰国してやり直すことになり、イベントには間に合わなくなります。

まとめ:確実なイベント成功のために

興行ビザは「1日だけだから」という理屈が通用しない、非常にデリケートな在留資格です。不備があれば公演中止という最悪の事態も招きかねません。

私はこれまで多様な興行ビザ申請をサポートしてきた経験から、お客様のイベントスケジュールに合わせた最短・確実な申請プランをご提案します。

「このケースはどうなの?」という疑問があれば、ぜひお気軽にご相談ください。正しい準備をして、素晴らしいイベントを実現させましょう。

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この記事を書いた人

本間 隆裕のアバター 本間 隆裕 行政書士

シキサイ行政書士事務所 代表。
外国人の在留資格(VISA)申請を専門に、就労ビザ、特定技能ビザ、興行ビザ、永住許可申請などのサポートを行っています。

行政書士法人二社にて計7年間勤務し、500件以上の在留資格関連案件に携わってきました。
企業と外国人双方の立場を理解したうえで、制度だけに頼らない、実情に即したサポートを心がけています。

外国人が日本で安心して働き、生活できる環境づくりに貢献することを大切にしています。

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