企業が誤解しやすい外国人採用と就労ビザの関係

外国人を採用する企業が増える一方で、就労ビザに関する誤解が原因で、採用後に思わぬトラブルが生じるケースは少なくありません。
人材としては魅力的で、業務内容も問題ないはずなのに、就労ビザの確認段階で手続きが止まり、現場が混乱してしまうこともあります。

多くの場合、問題の本質は制度そのものではなく、企業側の理解の前提にあります。
この記事では、企業が外国人採用の場面で誤解しやすい就労ビザとの関係について、実務の視点から整理します。

目次

就労ビザは「人」ではなく「業務内容」で判断される

就労ビザについて最も多い誤解は、「この人は就労ビザを持っているから大丈夫」という考え方です。
しかし、就労ビザは個人の能力や経歴だけで判断されるものではありません。

実際には、その外国人が日本でどのような業務に従事するのかという点が、最も重要な判断基準になります。
同じ人物であっても、業務内容が変われば、就労ビザとの適合性も変わる可能性があります。

企業側が期待している業務と、在留資格上想定されている活動内容がズレていると、採用後に問題が表面化します。
人を見て判断するのではなく、業務を起点に考える視点が欠かせません。

「前の会社で働けていた」という前提が通用しない理由

中途採用の場合、「前職で問題なく働いていたのだから大丈夫だろう」と考えてしまう企業は多いです。
しかし、この前提は就労ビザの判断において必ずしも当てはまりません。

前職と今回の採用先で、業務内容や役割が異なれば、在留資格上の評価も変わります。
たとえ職種名が同じでも、実際の業務の中身が異なれば、判断は別物になります。

この点を見落としたまま内定を出してしまうと、後から在留資格の変更が必要になったり、雇用開始が遅れたりする原因になります。
過去の就労実績だけで判断しない姿勢が重要です。

就労ビザがあっても「すべての業務ができる」わけではない

就労ビザを持っている外国人であっても、日本でできる業務には一定の範囲があります。
企業側が想定する業務が、その範囲に含まれていない場合、問題が生じます。

特に注意が必要なのは、現場作業や付随業務を当然のように任せてしまうケースです。
本人や現場に悪意がなくても、在留資格上は不適切と判断される可能性があります。

業務内容を広く捉えすぎると、就労ビザとのズレが見えにくくなります。
採用前の段階で、任せる業務を具体的に整理しておくことが重要です。

採用フローに在留資格の視点が抜けている企業の共通点

就労ビザの問題が後から発覚する企業には、共通する傾向があります。
それは、採用フローの中に在留資格を確認する視点が組み込まれていないことです。

面接や条件交渉は丁寧に行っていても、業務内容と在留資格の関係を確認するタイミングが後回しになっています。
結果として、内定後に初めて問題に気づき、対応に追われることになります。

在留資格は、採用活動の最後に確認するものではありません。
採用条件を検討する段階から並行して整理しておくことで、無理のない判断が可能になります。

外国人採用と就労ビザの関係は、正しく理解すれば過度に恐れる必要はありません。
業務内容を起点に考える視点を持つことで、企業にとっても外国人本人にとっても、安定した雇用につながります。

  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

本間 隆裕のアバター 本間 隆裕 行政書士

シキサイ行政書士事務所 代表。
外国人の在留資格(VISA)申請を専門に、就労ビザ、特定技能ビザ、興行ビザ、永住許可申請などのサポートを行っています。

行政書士事務所・行政書士法人にて計7年間勤務し、700件以上の在留資格関連案件に携わってきました。
企業と外国人双方の立場を理解したうえで、制度だけに頼らない、実情に即したサポートを心がけています。

外国人が日本で安心して働き、生活できる環境づくりに貢献することを大切にしています。

目次