外国人の「在留資格」とは?種類・取得条件・申請手続きの流れを分かりやすく解説

「優秀な外国人を採用したいけれど、入管(出入国在留管理局)の手続きが難しそう」「自社の業務で働いてもらうには、どのビザが必要なの?」

初めて外国人を雇用する際、見慣れない法律用語や複雑なルールを前に、ハードルの高さを感じてしまう経営者様や人事担当者様は非常に多いです。また、「知らずに法律違反をしてしまったら…」という不安もつきまといますよね。

この記事では、外国人雇用における入管手続きに精通した申請取次行政書士が、「在留資格」の基本から種類、許可を取るための条件、具体的な手続きの流れまでを分かりやすく解説します。

全体像をすっきり理解して、自信を持って外国人採用の第一歩を踏み出しましょう!

この記事でわかること
  • 「在留資格」の基礎知識と「ビザ(査証)」との違い
  • 主要な在留資格の種類と、それぞれで就労できる職種の例
  • 在留資格を取得・変更するための重要な条件
  • 申請手続きの具体的なステップと期間の目安
  • 手続きでよくある失敗と不法就労を防ぐための注意点
目次

1. 在留資格の基礎知識

1-1. 在留資格とは?ひと言で説明すると

在留資格とは、ひと言でいうと「外国人が日本に滞在し、特定の活動(働く、学ぶ、家族と暮らすなど)を行うために必要な法的な資格」のことです。

日本に滞在する外国人は、必ず何らかの在留資格を持っていなければなりません。在留資格にはそれぞれ「できる活動」や「滞在できる期間」が細かく定められており、この範囲を超えて働くことは法律で固く禁じられています。外国人が携帯している「在留カード」を見れば、その人が持つ在留資格の種類を確認することができます。

1-2. 間違いやすい「在留資格」と「ビザ(査証)」の違い

日常会話では「就労ビザ」のように同じ意味で使われがちですが、厳密には全くの別物です。

  • ビザ(査証): 日本に入国するに、海外にある日本の大使館・領事館がパスポートに貼る(押す)「日本に入国させても問題ないという推薦状」のようなものです。入国審査の際に使われます。
  • 在留資格: 日本に入国したに、日本国内で合法的に滞在し、活動するための「許可証」です。

企業が外国人を雇用する際に確認・手続きしなければならないのは、日本国内での滞在許可である「在留資格」となります。
※出国する前に本国でビザ(査証)を発行する手続きは発生します。

2. 主な在留資格の種類と就労のルール

2-1. 職種に応じた在留資格一覧

日本には現在、29種類の在留資格があります。就労を目的とする代表的な在留資格と、該当する主な職種は以下の通りです。

在留資格の名称該当する主な職種・活動就労制限の有無
技術・人文知識・国際業務システムエンジニア、プログラマー、通訳、翻訳、経理、マーケティング、デザイナーなど制限あり(許可された専門的な業務のみ可。単純労働は不可)
特定技能(1号・2号)介護、外食業、建設業、製造業、宿泊業など、指定された産業分野での業務制限あり(指定された分野の業務のみ可)
技能実習日本の技術を学びながら働く実習生(製造業、建設業、農業など)制限あり(実習計画に基づく業務のみ可)
高度専門職高度な技術や知識を持つ優秀な人材(ポイント制で認定)制限あり(指定された高度な業務のみ可)
永住者・日本人の配偶者等日本人と結婚した方、永住権を持つ方、定住者など制限なし(日本人と同じようにどんな仕事でも就労可能)

2-2. 就労が一切認められない在留資格と制限付きの資格

すべての在留資格で働けるわけではありません。以下の在留資格は、原則として就労が禁止されています。

  • 留学(日本語学校、専門学校、大学で学ぶ学生)
  • 家族滞在(就労する外国人の扶養を受けている配偶者や子ども)

ただし、入管から「資格外活動許可」という特別な許可を受ければ、週に28時間以内という制限付きでアルバイトをすることが認められます(風俗営業等での就労は不可)。コンビニや飲食店で見かける外国人アルバイトの多くは、この許可を得た留学生です。

3. 在留資格を取得・変更するための重要な条件

外国人を正社員として雇用し、就労の在留資格(例:技術・人文知識・国際業務)を取得・変更するには、以下の3つの条件をクリアする必要があります。

3-1. 条件①「本人の学歴・職歴や語学力(適格性)」

本人が業務を遂行するだけの専門知識や経験を持っているかが審査されます。

  • 学歴: 原則として大学卒業(学士)以上、または日本の専門学校卒業(専門士)などの学歴が必要です。
  • 職歴(実務経験): 学歴がない場合でも、関連する業務で3年〜10年以上の実務経験があれば認められるケースがあります。(求められる関連する業務経験は業務内容により変動します)
  • 試験合格: 「特定技能」の場合は、各分野の技能試験と日本語能力試験の合格が必要です。

3-2. 条件②「受入企業(所属機関)の安定性・信頼性」

外国人を雇用する企業側(所属機関)の経営状況も厳しく審査されます。

  • 経営の安定性: 外国人に毎月の給与を安定して支払い続けられる経営状態(決算状況)であること。債務超過の場合は、改善の見込みを示す事業計画書の提出が求められます。
  • 適正な労働条件: 同じ業務を行う「日本人と同等額以上」の給与を支払うこと。社会保険や労働保険の加入など、労働関係法令を遵守していることが必須です。過去に入管法違反がないことも重要です。

3-3. 条件③「行う業務と在留資格の不一致がないこと」

本人の学歴や専門性と、実際に会社で行う業務内容に「関連性」がなければ許可は下りません。

例えば、大学で「経済学」を専攻した外国人が、ホテルでの「ベッドメイキング」や工場での「ライン作業(単純労働)」を行うために「技術・人文知識・国際業務」の資格を取得することはできません。実務と資格のミスマッチは絶対に許されない点に注意してください。
※そもそも「技術・人文知識・国際業務」では現場労働は不可能です。

4. 在留資格の手続きの流れと期間・費用の目安

4-1. 申請手続きの3つのパターン

状況によって、入管で行うべき手続きが変わります。

  1. 在留資格認定証明書交付申請(海外から呼び寄せ): 海外にいる外国人を新たに日本へ呼び寄せるための手続き。「COE(シーオーイー)」とも呼ばれます。
  2. 在留資格変更許可申請(国内での切り替え): すでに日本にいる留学生を新卒採用する場合や、転職に伴い職種が変わる場合の手続きです。
  3. 在留期間更新許可申請(期限の延長): 現在持っている在留資格の期限を延長するための手続きです。

4-2. 申請フロー(一般的な呼び寄せの例)

海外にいる優秀な人材を採用し、日本に呼び寄せる場合(COE申請)の一般的な流れは以下の通りです。

  • ステップ1: 企業と外国人で雇用契約(内定)を締結する。
  • ステップ2: 企業側が必要書類を揃え、日本の入管へ「在留資格認定証明書(COE)」の交付申請を行う。
  • ステップ3: 入管での審査後、COEが企業宛てに交付される(電子COEの場合はメール)。
  • ステップ4: 企業が海外の本人へCOE(または電子COEのデータ)を送付する。
  • ステップ5: 本人が現地の日本大使館等へCOEを提出し、「ビザ(査証)」の発給を受ける。
  • ステップ6: 日本へ入国。空港での審査を経て「在留カード」が発行され、就労スタート。

4-3. 審査にかかる期間と費用の目安

  • 審査期間: 申請の内容や入管の混雑状況にもよりますが、おおむね1ヶ月〜3ヶ月程度かかります。採用計画は余裕を持って立てることが重要です。東京入管は特に混雑しているため、3ヶ月以上かかることも多いです。認定証明書交付申請(呼び寄せ)に関しては6ヶ月以上の審査期間がかかっている現状があります。(2026年6月現在)
  • 入管への手数料(収入印紙代):
    • 認定証明書交付(呼び寄せ):無料
    • 変更許可(切り替え):6,000円(オンライン申請の場合は5,500円)
    • 更新許可(延長):6,000円(オンライン申請の場合は5,500円)
    • ※これとは別に、行政書士などの専門家へ依頼する場合は報酬(数万円〜十数万円程度)が発生します。
  • 手数料の値上げが予定されいます(2026年6月現在)

5. 手続きでよくある失敗と注意点

5-1. よくある失敗例

入管の審査は書面のみで行われるため、書類上のミスが命取りになります。

  • 必要書類の不足・矛盾: 履歴書の経歴と提出した証明書の期間が合わないなど、つじつまが合わないと「虚偽申請」を疑われます。
  • 理由書の論理破綻: 「なぜこの外国人が必要なのか」「学歴と業務内容がどう結びついているのか」を論理的に説明しきれず、不許可になるケースが多発しています。
  • 単純労働とみなされる: 専門的な業務(通訳など)で申請したものの、実際の店舗業務(レジ打ちなど)が多いと判断されると不許可になります。

5-2. 企業が最も注意すべき「不法就労助長罪」のペナルティ

外国人を雇用する上で絶対に避けなければならないのが「不法就労助長罪」です。

  • 在留期限が切れた外国人を働かせた(オーバーステイ)
  • 就労不可の在留資格(家族滞在など)の外国人を、許可なく働かせた
  • 「技術・人文知識・国際業務」の外国人に、工場での単純作業だけをさせた

これらはすべて不法就労に該当し、企業や経営者には「3年以下の懲役または300万円以下の罰金(あるいはその両方)」という非常に重いペナルティが科されます。「知らなかった」「確認を忘れていた」では済まされないため、面接時の在留カードの確認とコピーの保管は徹底してください。

6. よくある質問(Q&A)

アルバイトの留学生をそのまま正社員として雇うことはできますか?

可能です。ただし、「留学」から就労用の在留資格(技術・人文知識・国際業務など)へ「在留資格変更許可申請」を行い、許可を得る必要があります。業務内容と本人の専攻内容が一致しているかが審査されます。

転職してきた外国人の在留資格はそのまま使えますか?

在留期限が残っており、前の会社と「全く同じ職種」であれば、そのまま働くことができます(※ただし「就労資格証明書」の取得手続きをしておくのが安全です)。もし全く違う職種(例:通訳からプログラマー)に転職する場合は、在留資格の変更申請が必要です。

一度不許可になった場合、再申請は可能ですか?

再申請自体は可能ですが、一度不許可の記録が残ると次回の審査はさらに厳しくなります。不許可の理由を入管へ直接聞きに行き、その原因を完全にクリアした上で再申請しなければなりません。この段階で専門家にリカバリーを依頼することをおすすめします。

会社が赤字決済の場合、外国人は雇えませんか?

赤字だからといって絶対に雇えないわけではありません。一時的な赤字である理由や、来期以降の具体的な黒字化の道筋を示した「改善計画書」を提出し、入管の審査官を納得させることができれば許可される可能性はあります。特に債務超過の場合は改善計画書がほぼ必須と言えます。

在留カードの有効期限は誰が管理すべきですか?

原則は外国人本人が管理・更新手続きを行う義務がありますが、期限切れ(オーバーステイ)に気づかず働かせると企業側も「不法就労助長罪」に問われます。したがって、企業側も必ずエクセルや労務管理システム等でスタッフの有効期限を厳格に管理すべきです。

7. まとめ

外国人の在留資格について、押さえておくべき重要なポイントを振り返ります。

  • 在留資格は日本での滞在・活動許可であり、入国前の「ビザ」とは異なる。
  • 就労目的の在留資格は、学歴や経験と「実際に行う業務」の関連性が厳格に審査される。
  • 単純労働を含むか、専門的な業務かによって取得すべき在留資格(特定技能、技術・人文知識・国際業務など)が変わる。
  • 審査には1〜3ヶ月程度の時間がかかるため、採用スケジュールは逆算して余裕を持つこと。※特に東京入管は非常に混み合っているので半年以上余裕を持つ必要がある。
  • 期限切れや資格外就労は企業に重い罰則(不法就労助長罪)が科されるため、徹底した在留カードの確認が必要。

外国人の採用手続きは、日本人を採用する場合と比べて時間も手間もかかります。また、入管法は頻繁に改正が行われるため、最新のルールを企業単独で追いかけるのは至難の業です。

「この業務で許可は下りるのか?」「必要書類がよくわからない」と迷われた際は、申請のプロフェッショナルである行政書士へお早めにご相談ください。専門家のサポートを活用することで、安全・確実かつスピーディーに外国人雇用を実現することができます。

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この記事を書いた人

本間 隆裕のアバター 本間 隆裕 行政書士

シキサイ行政書士事務所 代表。
外国人の在留資格(VISA)申請を専門に、就労ビザ、特定技能ビザ、興行ビザ、永住許可申請などのサポートを行っています。

行政書士事務所・行政書士法人にて計7年間勤務し、700件以上の在留資格関連案件に携わってきました。
企業と外国人双方の立場を理解したうえで、制度だけに頼らない、実情に即したサポートを心がけています。

外国人が日本で安心して働き、生活できる環境づくりに貢献することを大切にしています。

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