技人国か特定技能か?飲食・ホテル・製造業の在留資格の選び方

技人国か特定技能か?飲食・ホテル・製造業の在留資格の選び方
目次

技人国と特定技能の違いとは?

結論:在留資格は「どんな仕事を任せるか」で決まります。
専門知識を使う仕事なら技人国、現場の実務なら特定技能1号が基本です。

「就労ビザ」と「在留資格」はどう違う?

査証(ビザ/Visa)とは、海外の日本大使館・領事館が発給する「入国の推薦状」です。在留資格(Status of Residence)とは、日本で行える活動の種類を定めたものです。

一般に「就労ビザ」と呼ばれるものは、正確には就労できる在留資格を指します。以降は「在留資格」と表記します。

海外から呼び寄せる場合は在留資格認定証明書(Certificate of Eligibility)の交付申請を行います。国内の留学生などを採用する場合は、在留資格変更許可申請が必要です。

技人国とは

技人国(技術・人文知識・国際業務/Engineer/Specialist in Humanities/International Services)とは、大学等で学んだ専門知識や、外国語・異文化の素養を活かす業務のための在留資格です。設計技術者、通訳、マーケティング担当などが典型例です。

特定技能1号とは

特定技能1号(Specified Skilled Worker (i))とは、人手不足の分野で、一定の技能を持つ外国人が現場で働くための在留資格です。対象分野は2026年1月の閣議決定で19分野に拡大しました。

【比較表】技人国と特定技能1号の違い

項目技人国特定技能1号
主な業務専門知識を要する業務(設計・企画・通訳等)分野ごとに定められた現場業務
本人の要件学歴または実務経験+業務との関連性技能試験+日本語試験(免除あり)
在留期間5年・3年・1年・3月(更新回数の上限なし)通算5年まで
家族帯同可(家族滞在)原則不可
支援義務なしあり(支援計画の作成・実施)
受入れ数の上限なし分野ごとに受入れ見込数あり

飲食・ホテル・製造業はどちらを選ぶべき?

結論:同じ業種でも、職務によって選ぶ在留資格は変わります。調理・接客・ライン作業が中心なら特定技能、企画・管理・技術職なら技人国を検討します。

飲食業:特定技能「外食業」は新規受入れが大きく制限中

外食業分野の特定技能1号は、受入れ見込数(上限)を超える見込みとなりました。そのため2026年4月13日から、海外からの呼び寄せ(認定証明書の交付)が一時停止されています。

入管庁の2026年9月10日掲載の公表では、留学など他の在留資格からの変更も、同日以降の受付分は原則不許可です。通常どおり審査されるのは、外食業の特定技能1号を持つ人の分野内の転職などに限られます【要確認:最新の審査状況】。

技人国の対象は、本部での商品企画・マーケティング・経理などです。「店長候補」の名目でも、実態が調理・接客中心であれば認められません。外国料理の調理師は、在留資格「技能」の対象となる場合があります。

ホテル・旅館:フロントは技人国の可能性、現場全般は特定技能「宿泊」

外国語を使うフロント業務、海外向けの広報・企画は技人国の対象となりえます。
一方、客室清掃や配膳が主な業務になると、技人国では認められません。

特定技能「宿泊」であれば、フロント・接客・レストランサービスを幅広く担当できます。

製造業:技術者は技人国、製造ラインは特定技能「工業製品製造業」

機械工学などを専攻した人が設計・品質管理・生産管理に就くなら技人国です。製造ラインの加工・組立・検査が中心なら、特定技能「工業製品製造業」を選びます。食品工場は「飲食料品製造業」が対象です。

【比較表】業種×職務で見る在留資格の目安

業種技人国の対象になりうる職務特定技能1号の分野と主な業務
飲食本部の企画、マーケティング、経理外食業:調理・接客・店舗管理
(新規受入れ停止中)
ホテル外国語でのフロント・広報・企画宿泊:フロント・接客・レストランサービス等
製造設計、生産管理、品質管理工業製品製造業:加工・組立・検査等

特定技能の「支援体制」はどれくらい負担か?

結論:特定技能1号では、法令で定められた10項目の支援を企業が実施する義務があります。自社で担えない場合は、登録支援機関に全部を委託できます。

1号特定技能外国人支援計画とは

1号特定技能外国人支援計画とは、受入れ企業が外国人の仕事と生活を支えるために作成する計画です(入管法第2条の5)。義務的支援は次の10項目です。

  1. 事前ガイダンス
  2. 出入国する際の送迎
  3. 住居確保・生活に必要な契約の支援
  4. 生活オリエンテーション
  5. 公的手続等への同行
  6. 日本語学習の機会の提供
  7. 相談・苦情への対応
  8. 日本人との交流促進
  9. 転職支援(会社都合で契約を終了する場合)
  10. 定期的な面談(3か月に1回以上)・行政機関への通報

2025年4月の運用改正で、定期面談は本人の同意などを条件にオンラインでも実施できるようになりました。受入れ状況の定期届出も、四半期ごとから年1回へ変わっています【要確認】。

自社支援と登録支援機関への委託の比較

項目自社で支援登録支援機関に全部委託
体制の要件支援責任者・担当者の選任、受入れ実績等が必要委託により要件を満たせる
費用の目安社内の人件費1人あたり月2万〜4万円程度【要確認】
社内の負担面談・同行・記録作成が発生情報共有と協力が中心

支援の費用を外国人本人に負担させることは認められません。また、多くの分野では、受入れ前に分野別協議会への加入が必要です。

技人国に支援義務はないが「説明責任」が重い

技人国には支援計画の義務はありません。その代わり、「この仕事が本当に専門業務か」を企業が資料で説明する負担があります。

許可の要件は?「本人・受入れ企業・立証資料」の3軸で確認

結論:要件は「本人」「受入れ企業」「立証資料」の3軸で整理します。ただし、書類が揃っていても許可されるとは限りません。

①本人の要件

技人国

  • 業務に関連する分野で大学を卒業、または日本の専門学校を修了(専門士)
  • 学歴がない場合は、原則10年以上の実務経験(国際業務は3年以上)
  • 素行に問題がないこと

特定技能1号

  • 分野ごとの技能測定試験に合格
  • 日本語能力試験N4以上、または国際交流基金日本語基礎テストに合格
  • 技能実習2号を良好に修了した人は、関連分野の試験が免除

②受入れ企業の要件

  • 事業の適正性・安定性(決算内容、必要な許認可)
  • 日本人と同等額以上の報酬
  • 社会保険・労働保険・税の適正な納付
  • 特定技能では、直接雇用・支援体制・分野別の上乗せ基準

企業は規模などにより「カテゴリー1〜4」に区分され、提出書類が変わります。

2026年4月15日以降、技人国でカテゴリー3・4の企業は、代表者に関する申告書の提出が追加されました。言語を使う対人業務では、CEFR・B2相当(JLPT N2等)の証明資料も求められます。

③立証資料と「書類が揃っても許可とは限らない」理由

立証資料とは、要件を満たすことを示す書類です。
雇用契約書、卒業証明書、職務内容の説明書、決算書などがあたります。

入管の審査には広い裁量があります。
形式上の要件を満たしても、職務の実態や企業の安定性に疑問があれば不許可となりえます。

現場での注意点:よくある不備・失敗例

実務で多いのは、職務内容と専攻の関連性の説明不足です。たとえば経営学専攻の人をホテルのフロントで採用する場合、外国語対応や売上管理など、学んだ知識を使う場面を具体的に示す必要があります。

入社後の現場研修にも注意が必要です。日本人社員と同様の研修であり、在留期間の大半を占めないことなどが前提です。研修計画を申請前に整えておくと、審査で説明しやすくなります。

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不許可になった場合はどうする?

結論:まず不許可の理由を確認し、改善できる点があれば再申請を検討します。

  1. 理由の確認:申請した入管で、不許可理由の説明を受けられます
  2. 再申請の検討:資料不足や説明不足が原因なら、補強して再申請できます
  3. 在留期限の確認:変更申請が不許可となり期限が迫る場合、出国準備のための特定活動に変更されることがあります

同じ内容を出し直しても、結果は変わりません。不許可理由に正面から応える資料が必要です。

自社で申請する場合と専門家に依頼する場合の比較

結論:初めての外国人採用や、職務の説明が難しい案件ほど、専門家の活用で採用スケジュールの遅れを防ぎやすくなります。

比較項目自社で申請申請取次行政書士に依頼
費用入管の手数料(変更・更新時)報酬の目安:1件10万〜20万円程度
時間制度調査・書類作成に数十時間ヒアリングと資料準備が中心
平日の窓口対応担当者が入管に出向く申請取次により、本人・担当者の出頭が原則不要
書類の説得力説明不足で追加資料や不許可のリスク審査の視点で職務内容を整理

不許可や審査の長期化は、入社日の延期や内定辞退につながります。
専門家に任せれば、担当者は受入れ準備と社内調整に集中できます。

当事務所は全国対応です。

よくある質問

Q1. 専攻と職務内容が一致しない場合、技人国は取れますか?

関連性を説明できなければ、許可は難しくなります。審査では、大学等で学んだ知識が実際の業務で使われるかが問われるためです。大学卒業者は、専門学校卒業者より関連性が柔軟に判断される傾向があります。成績証明書の履修科目と業務内容を対応させ、職務内容説明書で具体的に示すことが重要です。

Q2. 技人国で採用した人に、繁忙期だけ現場業務を任せてもよいですか?

現場業務が主になる働き方は認められません。許可された活動の範囲を超え、資格外活動とみなされるおそれがあるためです。発覚すると本人の更新が不許可となるだけでなく、企業も不法就労助長罪に問われる可能性があります。
現場の人手が必要なら特定技能での採用を検討します。

Q3. 転職者を採用する場合や、退職期間がある場合は?

転職者の採用は可能です。ただし前職と業務内容が変わる場合、技人国でも次回更新時に問題となることがあります。不安があれば就労資格証明書の取得も検討できます。特定技能は転職時に必ず在留資格変更許可申請が必要です。また、正当な理由なく3か月以上活動していないと、在留資格取消しの対象となりえます。

Q4. 過去に不許可や交通違反がある人を採用できますか?

一律に不可ではありません。審査では素行も見られるため、違反の内容・回数・時期によって影響が変わります。
軽微な交通違反のみであれば、大きな支障とならない場合もあります。過去の不許可理由が解消されているかも重要です。申請書には事実を正確に記載し、隠さないことが大前提です。

Q5. 外国人社員は家族を呼べますか?

技人国なら可能です。配偶者と子は「家族滞在」の在留資格で同居でき、扶養できる収入があることが前提です。一方、特定技能1号では、家族の帯同は原則認められません。家族と暮らしたい人材の長期定着を考えるなら、技人国での採用、または特定技能2号への移行を視野に入れた育成計画が選択肢になります。

Q6. 申請から許可までの期間の目安は?

入管庁の標準処理期間は、認定証明書交付が1〜3か月、変更許可が2週間〜1か月とされています。ただし、これはあくまで標準処理期間ですので、申請が集中する東京出入国在留管理局などは非常に長期化しております。また、追加資料の有無により長くなる場合があります。海外からの呼び寄せでは、許可後の査証発給や渡航準備も必要です。入社予定日から逆算し、1年前〜数ヶ月前の準備開始をおすすめします。

まとめ:採用計画に合った在留資格を選ぶために

結論:在留資格は業種ではなく、職務内容で選びます。そのうえで、支援体制と制度変更への対応力を見極めることが大切です。

  • 専門知識を使う仕事なら技人国、現場業務なら特定技能1号
  • 特定技能は10項目の支援が必須。登録支援機関への委託も可能
  • 外食業の特定技能は新規受入れが制限中(2026年10月時点)
  • 技人国も2026年4月から提出書類が追加

制度は短期間で変わります。採用を決める前に、専門家の確認を受けておくと安心です。

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この記事を書いた人

本間 隆裕のアバター 本間 隆裕 行政書士

シキサイ行政書士事務所 代表。
外国人の在留資格(VISA)申請を専門に、就労ビザ、特定技能ビザ、興行ビザ、永住許可申請などのサポートを行っています。

行政書士事務所・行政書士法人にて計7年間勤務し、700件以上の在留資格関連案件に携わってきました。
企業と外国人双方の立場を理解したうえで、制度だけに頼らない、実情に即したサポートを心がけています。

外国人が日本で安心して働き、生活できる環境づくりに貢献することを大切にしています。

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