就労ビザ・家族滞在と風営法|外国人雇用で企業が守るべき線引き

技人国・特定技能2号の社員の家族(家族滞在)は、風営法の対象店舗で働けるのか。2026年10月から個別許可でパチンコ店等の勤務が可能になりました。要件、手続き、企業のリスクと管理のポイントを申請取次行政書士が解説します。
技人国・特定技能2号の社員の家族(家族滞在)は、風営法の対象店舗で働けるのか。2026年10月から個別許可でパチンコ店等の勤務が可能になりました。要件、手続き、企業のリスクと管理のポイント

「社員の奥さんが、パチンコ店でアルバイトをしたいと言っている」
「遊技場の求人に、外国籍の方から応募があった」

こうした相談が、2026年10月から急に増えています。

結論から言うと、技人国や特定技能2号の社員に扶養される「家族滞在」の方は、個別許可を受ければパチンコ店やゲームセンターで働けるようになりました。ただし、接待を伴う飲食店などは今も対象外です。

本記事では、社員の家族を受け入れる企業と、家族滞在の方を雇う遊技場の双方に向けて、正しい線引きを解説します(2026年10月時点の情報)。

家族滞在の方は風営法の対象店舗で働ける?

風営法の対象店舗のうち、遊技場に限って、個別許可を受ければ働けます。どの店舗で働けるかは、営業の種類によって決まります。

家族滞在とは?技人国・特定技能2号の家族が対象

家族滞在とは、就労系の在留資格などで暮らす外国人に扶養される、配偶者・子のための在留資格です。

技術・人文知識・国際業務(技人国)や特定技能2号の社員は、配偶者と子を家族滞在で呼び寄せられます。なお、特定技能1号では、原則として家族の帯同は認められていません。

家族滞在の方は、原則として働けません。働くには資格外活動許可(Permission to Engage in Activity other than that Permitted)が必要です。

風営法とは?営業の種類別に働けるかの早見表

風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)とは、接待を伴う飲食店や遊技場などの営業を規制する法律です。

勤務先を特定しない「包括許可」では、風俗営業の営業所での就労は除外されています。

勤務先の営業の種類包括許可個別許可(2026年10月〜)
風俗営業以外の飲食店・小売店など可不要
ぱちんこ店・麻雀店など(風営法第2条第1項第4号)不可可
ゲームセンターなど(同第5号)不可可
接待を伴う飲食店(同第1号)不可不可
低照度・区画席の飲食店(同第2号・第3号)不可不可
性風俗関連特殊営業不可不可

現場での注意点:判断の基準は「どんな業務か」ではなく「どの営業所で働くか」です。皿洗いや清掃であっても、対象外の営業所であれば働けません。

2026年10月の運用変更で何が変わった?

2026年10月1日から、家族滞在の方に限り、遊技場営業店舗で働くための個別許可が認められるようになりました。すでに包括許可を持っている方も、改めて個別許可を受ける必要があります。

対象になる人・ならない人

  • 対象:在留資格「家族滞在」で在留する方(技人国・特定技能2号の社員の配偶者・子など)
  • 対象外:「留学」の方
  • 対象外:扶養を受ける配偶者・子などとして「特定活動」で在留する方

勤務開始までの流れ

  1. アルバイト先の遊技場と雇用契約を結ぶ
  2. 提出書類を準備する
  3. 住所地を管轄する地方出入国在留管理官署に申請する
  4. 資格外活動許可(個別許可)を受ける
  5. 許可された店舗・業務の範囲で勤務を始める

許可を受けるまでは、働くことはできません。個別許可は店舗ごとに出るため、別の店舗でも働く場合はその店舗分の許可も必要です。

ご家族のケース別に必要な手続き

ご家族の状況によって、必要な手続きは異なります。まず該当するケースを確認してください。

  1. 社員の家族を海外から呼ぶ → 家族滞在の在留資格認定証明書交付申請(Certificate of Eligibility)
  2. 日本にいる家族が、別の在留資格から家族滞在へ移る → 在留資格変更許可申請(Change of Status of Residence)
  3. 家族滞在の期限を延長する → 在留期間更新許可申請(Extension of Period of Stay)
  4. 一般の飲食店などでアルバイトをする → 資格外活動許可(包括許可)
  5. パチンコ店・ゲームセンターでアルバイトをする → 資格外活動許可(個別許可)

許可の要件を3軸で整理(本人・受入機関・立証資料)

遊技場で働くための許可は、「家族本人」「受入機関」「立証資料」の3つの軸で判断されます。ただし、書類が揃っているからといって、許可されるわけではありません。

①本人(家族滞在の方)の要件

  • 扶養者(技人国・特定技能2号の社員)の扶養を実際に受けていること
  • アルバイトによって、家族滞在としての本来の生活が妨げられないこと
  • 申請する活動が法令に違反しないこと
  • 掛け持ちを含め、すべての資格外活動の合計が週28時間以内であること

②受入機関の要件

この手続きでは、2つの「受入機関」が関わります。

関係者求められること
扶養者の勤務先(技人国・特定技能2号の雇用企業)社員が家族を扶養できる安定した収入と雇用を続けていること
アルバイト先(遊技場)風営法第2条第1項第4号・第5号の営業許可を受けていること、所定の誓約書を提出すること

遊技場が誓約する内容は、次の3点です。

  • 外国人雇用状況の届出など、事業主の法令上の義務を守ること
  • 雇用した外国人に、特定在留カード(在留カードとマイナンバーカードを一体化したもの)の取得を勧めること
  • 掛け持ちを含め、週28時間以内であることを定期的に確認すること

③立証に必要な資料

  • 申請書
  • 活動内容・活動時間・報酬などを説明する文書
  • 勤務先が作成する誓約書、本人が作成する誓約書
  • 勤務先の営業許可証などの写し
  • ほかのアルバイトを含め、週28時間以内であることを示す資料

最新の様式と記載例は、出入国在留管理庁のホームページで確認してください。

審査で見られるポイントと現場の失敗例

資格外活動許可は、法務大臣が「相当と認めるとき」に与えられます(入管法第19条第2項)。
要件を形式的に満たしていても、不許可になることがあります。

「扶養を受けている」と言えるか

家族滞在は、扶養されていることが前提の在留資格です。
アルバイト収入が増え、扶養者の収入と比べて大きくなると、扶養の実態が問われることがあります。

その結果、資格外活動許可だけでなく、家族滞在の更新審査にも影響するおそれがあります。

現場でよくある失敗例

運用変更の直後は、次のような誤解が起こりやすくなります。

  • 「包括許可があるから大丈夫」と考え、個別許可を受ける前に勤務を始めてしまう
  • 飲食店のアルバイトと掛け持ちし、合計が週28時間を超えてしまう
  • 「風営法の店で働けるようになった」と誤解し、スナックなど接待を伴う店で働いてしまう
  • 許可を受けた店舗とは別の系列店に、ヘルプとして入ってしまう

いずれも資格外活動の違反となり、家族本人の在留に影響するおそれがあります。


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企業にとってのリスクと不許可時の対応

家族の在留トラブルは、社員本人の離職や、遊技場の法的責任につながります。立場ごとにリスクを整理します。

社員(扶養者)を雇う企業のリスク

家族の在留が不安定になると、社員本人が帰国や転職を選ぶことがあります。
育成してきた人材を失うことは、採用計画にとって大きな損失です。

家族のアルバイト先を会社が管理する必要はありません。
それでも、正しい情報を社員に伝えておくだけで、こうしたリスクは減らせます。

遊技場を運営する企業のリスク

不法就労助長罪とは、外国人に許可のない就労をさせた事業主などを処罰する罪です。

現在の法定刑は、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です。
2027年4月1日からは、5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金に引き上げられます。

両罰規定(入管法第76条の2)により、法人にも罰金が科されます。
在留カードや許可の内容の確認を怠った場合など、過失があれば「知らなかった」では処罰を免れません。

不許可になった場合の対応

  1. 地方出入国在留管理局で、不許可の理由について説明を受ける
  2. 理由を踏まえて状況(勤務時間・勤務先など)を見直し、再申請を検討する

退去強制手続や収容に関わる事項は、弁護士の業務範囲です。該当する場合は弁護士にご相談ください。

許可後に家族本人と企業が行う届出・更新管理

許可を受けた後も、届出と期限の管理が必要です。怠ると、次回の更新審査に影響することがあります。

家族本人が行うこと

  • 住居地の届出・在留カードの記載事項変更:変更から14日以内
  • 配偶者との離婚・死別があった場合の届出:14日以内
  • 勤務先の店舗を変える場合:新しい店舗について個別許可を受ける

企業が行うこと

  • 遊技場:外国人雇用状況の届出(ハローワーク)、週28時間以内の定期確認
  • 扶養者の雇用企業:社員本人の在留期限と、家族の在留期限をあわせて把握する

家族滞在の期限は、扶養者の在留期限と連動することが多くあります。更新申請は満了の約3か月前から行えます。
なお、2026年10月1日以降、変更・更新の手数料は許可される在留期間に応じた額となりました。

自分で申請する場合と行政書士に依頼する場合の比較

資格外活動許可は、ご本人で申請することも可能です。ただし、平日の窓口対応と書類準備の負担には差が出ます。

比較項目自分で申請する場合申請取次行政書士に依頼する場合
費用申請書類の取得費用など報酬(数万円程度が目安/手続きにより変動)
準備時間要件の確認・説明文書の作成に時間がかかるヒアリングと資料提供が中心
平日の窓口対応本人が入管へ出向く必要がある申請取次により、本人の出頭が原則不要
書類の説得力28時間以内の立証や活動内容の説明が難しい審査の着眼点を踏まえて説明文書を整理
運用変更への対応自分で最新情報を確認する必要がある運用変更を踏まえて手続きを案内

申請取次とは、本人に代わって申請書類を入管に提出する手続きです。法律上の「代理」とは異なります。

依頼すれば、遊技場は採用予定日に向けたシフト調整に集中でき、社員は家族の手続きで仕事を休む必要がなくなります。

よくある質問

技人国の社員の妻は、パチンコ店で働けますか?

2026年10月1日から、個別の資格外活動許可を受ければ働けるようになりました。
勤務先が風営法第2条第1項第4号の営業許可を受けていることなどが要件です。
包括許可を持っている方も、改めて個別許可が必要です。許可を受けるまでは働けません。

特定技能の社員の家族も対象になりますか?

特定技能2号の社員の配偶者・子は、家族滞在で在留していれば対象になります。
一方、特定技能1号では、原則として家族の帯同自体が認められていません。
今回の運用変更の対象は在留資格「家族滞在」の方に限られ、留学の方などは対象外です。

スナックやキャバクラでも働けるようになりましたか?

働けません。今回の運用変更の対象は、パチンコ店・麻雀店などの遊技場(第4号)と、ゲームセンターなど(第5号)に限られます。
接待を伴う飲食店や性風俗関連特殊営業では、皿洗いなどの業務であっても働けません。

週28時間を超えて働いた場合はどうなりますか?

資格外活動の違反となり、家族滞在の更新などで不利に扱われるおそれがあります。
28時間は、包括許可と個別許可のすべてのアルバイトを合計した時間です。
掛け持ちをする場合は、本人と各勤務先の双方で時間を管理することが大切です。

扶養者の社員が転職・退職した場合、家族のアルバイトはどうなりますか?

家族滞在は、扶養者の在留を前提とする在留資格です。
扶養者が転職して在留資格が続く場合は、家族も原則としてそのまま在留できます。
一方、扶養者が退職して長期間仕事に就かない場合は、扶養者と家族の双方の在留に影響する可能性があります。

過去に資格外活動の違反がある場合、許可は受けられますか?

過去の違反は、審査で素行として考慮されます。
違反の内容や時期によって判断が分かれるため、一概には言えません。
経緯を正確に申告し、現在は適正に管理していることを説明することが大切です。
申告漏れは、虚偽申請と受け取られるおそれがあります。

申請から許可までの期間はどのくらいですか?

個別資格外活動許可の目安は、1〜2か月程度です。時期や申請先の混雑状況によって変動します。
勤務開始日が決まっている場合は、雇用契約を結んだら早めに申請してください。
最新の標準処理期間は、出入国在留管理庁のホームページで確認できます。

自分で申請する場合と依頼する場合の違いは何ですか?

ご本人で申請することも可能です。
依頼する場合は、事前の要件確認、説明文書の作成、申請取次による窓口対応の負担軽減を受けられます。
ただし、どちらの場合でも許可が保証されるわけではありません。
勤務開始日と準備にかけられる時間を踏まえて判断してください。

まとめ:社員の家族の働き方を正しく支えるために

2026年10月の運用変更で、家族滞在の方の働き方の選択肢が広がりました。
一方で、誤解による違反のリスクも高まっています。

  • 技人国・特定技能2号の社員の家族(家族滞在)は、個別許可を受ければ遊技場で働ける
  • 対象は風営法第4号・第5号の営業に限られ、接待を伴う飲食店は対象外
  • 包括許可を持っていても、改めて個別許可が必要
  • すべてのアルバイトの合計は週28時間以内
  • 2027年4月から、不法就労助長罪の罰則が引き上げられる

社員とご家族が、安心して日本で暮らし続けられるように。
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この記事を書いた人

本間 隆裕のアバター 本間 隆裕 行政書士

シキサイ行政書士事務所 代表。
外国人の在留資格(VISA)申請を専門に、就労ビザ、特定技能ビザ、興行ビザ、永住許可申請などのサポートを行っています。

行政書士事務所・行政書士法人にて計7年間勤務し、700件以上の在留資格関連案件に携わってきました。
企業と外国人双方の立場を理解したうえで、制度だけに頼らない、実情に即したサポートを心がけています。

外国人が日本で安心して働き、生活できる環境づくりに貢献することを大切にしています。

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